本日よりいよいよ第5章の「コーヒーの産地」に入ります。
第5章はコーヒーベルトの国々を一か国ずつ学ぶ内容となっています。新しい知識を蓄えることができそうでワクワクしますね。
さっそくやっていきましょう。
これまでの振り返りは「コーヒーマイスターへの道 2022」より
https://www.hagukumuhito.net/news/?mode=list&cat=21
[中・南米の主なコーヒー生産国]
・グアテマラ、エルサルバドル、ホンジュラス、ニカラグア、コスタリカ、パナマなどは、スペシャルティ―コーヒー産業の中心となる生産国
・カップオブエクセレンス、ベストオブパナマによって、素晴らしい高品質コーヒーが消費国に紹介され、生産者がより高い報酬を得た結果、生活レベルの改善がなされ、高品質コーヒー生産の意欲を向上させた
・焙煎業者など消費国の実需と生産者が直結し、長期的関係を構築し、高品質コーヒーの安定的かつ長期的調達を可能にしている
・中米は水洗処理方式のコーヒーが主体で、高品質とされるものは、甘みや爽やかな酸味を持ち、ブレンドのアイテムとしても欠かすことができない
・近年はゲイシャ、パカマラなど品種、生産区画、生産処理方法、乾燥方法などの工夫によって、より個性的な高品質コーヒーが登場している
・生産国でもカッピング技術の向上とその設備の拡充が更に品質レベルを上げている
・1990年後半国連のITCグルメコーヒープロジェクトの参加国であったブラジルは、高品質コーヒーを生産するための生産処理の機械化を推進し、また品種、乾燥方法などの工夫を行い、広大な国土の各地域で個性のあるコーヒーを作り続けている
[ブラジル]
世界第一位の産出国。生産高の動向は国際相場に大きな影響を与える。
ブラジルの自然環境
ブラジルは南米大陸の中央に位置し、その約半分を占める大きな土地で、国土は南北両半球にまたがっている。
・大部分は熱帯に属し、高原地帯は亜熱帯、南回帰線以南のわずかな地域が温帯になっている
・国土のうち900m以上の高地は少なく、国土の半分以上をブラジル高原などの高原地帯が占めている
コーヒー産業の発展
・世界最大のコーヒー生産国であるブラジルのコーヒー栽培は、1727年フランス領ギニアから持ち込まれたのがはじまり
・近年までは、南東部の3州(サンパウロ、パラナ、ミナス・ジェライス)を中心に栽培されてきた
・この地域はテーラ・ロッシャと呼ばれる肥沃な土壌で、気候もコーヒーに適している
・現在は南部の霜害対策として栽培地域が徐々に北上し、現在は、ミナス・ジェライス州が中心となっている
*テーラ・ロッシャ(赤紫の土(大地)の意)
・ミナス・ジェライス、ゴイアス、バイア州にまたがるサバンナ地域(セラードと呼ばれる)では、コーヒーの農園開発が1970年代から進められており、特にミナス・ジェライスとバイアでは灌漑設備を施した大規模なコーヒー生産が拡大している
ブラジルのコーヒー
・大部分が非水洗式アラビカ種ですが、近年病気に強いカネフォラ種も全収穫量の20~25%程度生産されている
・中でも中部海岸寄りのエスプリト・サント州ではブラジル・コニロンが栽培されている
・ブラジルの農園は、主にファゼンダと呼ばれる大農園で集約的な近代農業を行っており、収穫期には1日数百人の季節労働者が雇われているところもある
・住宅、教会、学校なども整備されている大農園もある
[コロンビア]
FNC(コロンビア国立コーヒー生産連合会)指導のもと、高品質コーヒーの生産に取り組んでいる
・国民の10人に1人がコーヒー関係者
・コロンビアの産業はコーヒー抜きでは語れない
コロンビアの自然環境
・低緯度にありながら、コロンビアの地形により熱帯、亜熱帯、温帯、寒帯とさまざまな気候がみられる
・標高5000メートルを超えるアンデス山系では高度による気候の違いを利用した耕作が行われている
・コーヒーが栽培されている地帯は、標高1000メートルから2000メートルで、お気温は18℃~24℃、年間降水量は2,000mm~3,000mm程度あり、コーヒー栽培に理想的な条件がそろっている
・主な栽培地は国の西側が中心
・新産地東部のメタは標高1000メートル~1250メートルでやや低い生産地
コーヒー産業の発展
・多くの人びとがコーヒー産業に従事している
・生産量はブラジル、ベトナムに次ぐ世界第3で、総生産量の約8.8%(2017年度)を生産
コロンビアのコーヒー
・コロンビアの水洗式アラビカ種は高く評価されてきた
・ニューヨーク取引市場で使われる「コロンビア・マイルド」に名称も、大粒で形も色も美しく、味に優れたコロンビアコーヒーの特徴から採られたもの
・コロンビアの農園のほとんどが山の急斜面にあり、作業の機械化が困難で人手に頼っている
・様々な味の特徴をもったコーヒーは、輸出品については、FNCで品質検査が行われ、さらに輸入者の要望によりきめ細かい品質管理が行われている
・カップオブエクセレンスも実施
[メキシコ]
標高によりグレードが決められており、有機栽培などの高品質コーヒーが生産される
メキシコの自然環境
・メキシコの気候は、国土のほぼ中央を走る北回帰線でおおよそ北の温帯と南の熱帯に区別される
・しかし、国土の大部分は海抜1,000メートル以上の山岳地帯で、高度差でも複雑な変化が起こる
・コーヒー栽培は熱帯性から温暖性の高原地帯でおこなわれる
コーヒー産業の発展
・肥沃な火山性の土壌を持つ、コアペテック(べラクスル州)を中心にまず生産がはじまり、1880年代には、第2の産地となるチアパス州南部に農園ができました。メキシコのコーヒー栽培は、小規模農園に依存しており、農園では100万人以上が従事している
・約300万人がコーヒー関連の仕事に携わる
メキシコのコーヒー
・約95%がアラビカ種
・ほとんどが水洗式
・標高によって、ストリクトリー・ハイ・グロウン(高度1700メートル)から国内消費用のグッド・ウォッシュト(高度700メートル以下)までの4段階の格付け
・「アルツーララバド(AL)」、「プリマ・ラバド(PL)」、グッド・ウォッシュトを「ブエンラバド(BL)」とも呼ぶ
・産地としては「タパチュラ」「プエブラ」「ハラパ」「オリサバ」「コアペテック」などがあり大多数がアメリカ合衆国へ輸出される
[グアテマラ]
アナカフェ(グアテマラ国立コーヒー協会)の管理の下、8つのエリアでバラエティに富んだコーヒーが栽培されている
人口の6割強が先住民、先住民がコーヒー産業の発展に寄与
グアテマラの自然環境
・中米の北部に位置し、国土は主にユカタン半島の付け根部分にあたる北米平地、山地が多く標高の高い中部高地、太平洋側の南部沿岸地帯の3つに分けられる。
・火山が多く、火山灰質の土壌に恵まれている
・気候は温暖な高原地帯、高温多湿の平地、海岸地帯に分かれており、雨季と乾季がある
・特に南部太平洋側の熱帯雨林を開拓して作られた栽培地はボカコスタと呼ばれ、肥沃な土壌と気象条件に恵まれ、コーヒー栽培に理想的な条件が揃っている
コーヒー産業の発展
・グアテマラのコーヒー栽培は、1750年にイエズス会修道士によって苗木が持ち込まれたのがはじまり
・実際に栽培が広がるのは1821年の独立後、コスタリカから栽培技術が導入されてからで、1860年以降、ドイツ移民により本格的な栽培技術が導入されてからで、1860年以降、ドイツ移民により、本格的な栽培がおこなわれるようになった
・コーヒー産業では、ドイツ、イギリスからの資本が積極的に導入され、重要な貿易品となっている
グアテマラのコーヒー
・アンティグア、コバン、アティトラン、サンマルコスなどが高品質の産地として知られている
・最近ではウエウエテナンゴ、ヌエバ・サンタローサ、フライハーネス、ニューオリエンテなど魅力的な風味特性を持つ産地として知られている
・ほとんどが600メートルから1500メートルの山の斜面で栽培されており、7等級に分類される
・豆は大粒で品質がよいことからアメリカ、日本、カナダに輸出
[エルサルバドル]
ブルボンやパカマラなど個性的な品種が栽培
エルサルバドルのコーヒー産業
・エルサルバドルは農業国でコーヒーへの依存度も高く、農業全体の1/3、総輸出量では半分にものぼる量を占めている
・農家は小規模なところが多く、農園の大型化や機械化が難しいものの、エルサルバドル国立農政省コーヒー研究所により品質改良や生産技術を研究する努力がなされている
エルサルバドルのコーヒー
・代表的な産地は、エルサルバドル最大で西部のサンタアナ州、中部のラリベルタ州、サンサルバドル州、東部のウスルタン州など。
・品種はアラビカ種が約95%、水洗式
・標高によって、ストリクトリー・ハイ・グロウン、ハイ・グロウン、セントラル・スタンダードと3等級に分類。生産量は、セントラル・スタンダードが約半分を占める
・大粒で特徴的な風味を持つパカマラが注目
[ニカラグア]
1990年代以降、高品質コーヒーがカップオブエクセレンスなどを通じ市場へ出てきている
・国土の南西部に中米最大のニカラグア湖(琵琶湖の約12倍)があることが特徴
・南東部からカリブ海沿岸にかけては熱帯雨林帰国で、コーヒー栽培は中部から北西部にかけての山岳地帯で行われる
・かつてコーヒーの首都と呼ばれたヒノテガ地区、マタガルパ地区は100ha以上の大農園が多い伝統的な産地となっている
・マイルドで豊かなボディを有しているのが特徴
・北西部のラス・セゴビアでは地形が急峻なため小規模農家が多く、近年スペシャルティコーヒーの産出地として脚光を浴びている
・中でも、ヌエバ・セゴビア、マドリス、エステリの各地区は、高い標高に位置し、産出するコーヒーは柑橘系の明確な特徴を持っている
・生産者の約95%が水洗処理設備を所有
・大部分はウェット・パーチメントを農協、輸出業者などの乾燥場に持ち込み、再度乾燥させ商品として仕上げる
・2002年よりカップオブエクセレンス
・FLO(フェアトレードラベル)においても有名
[コスタリカ]
高い標高、火山質で肥沃な土壌、気候など、高品質コーヒーを生産する条件が整っている
コスタリカのコーヒー産業
・コーヒーはバナナと並んで国を代表する農産物
・単位面積あたりの収穫量では世界最高をほこり、約500万人程度の人口に対してコーヒーの木は3億4000万本程度にのぼる
・首都サンホセを抱えるセントラル地方は農園、精製工場、輸出業者などが集中する一大コーヒー産業エリア
コスタリカのコーヒー
・良質なものは中央高原で栽培され、中でも1550メートル以上のものを最高級として、高度と生産地によって7段階に分類される
・大部分は水洗式、アラビカ種
・主な産地は、タラス、トレスリオス、ウエストバレー、セントラルバレー、オシロ、トゥリアルバ、ブルンカなど
・2000年頃から、小規模生産者が独自に水洗処理設備を所有し、農園、品種、生産処理にこだわった個性豊かなコーヒーを生産するマイクロ見る運動がスタートした
[パナマ]
パナマの生産地域は太平洋と大西洋の影響を受けて多様な風味特性を持つ
パナマの地理
・パナマは北アメリカ大陸と南アメリカ大陸の接点にあたり、北西部にコスタリカ、南東部はコロンビアとそれぞれ国境を接している
パナマの産地
・大きく3つの産地がある
・ひとつは19世紀後半にヨーロッパからの移民の手によってコーヒー栽培がはじまったボケテ地区。ボケテ地区は1200メートルから1800メートルと標高が高く、昼夜の寒暖差が明瞭でコーヒー栽培に適している。
・ボルカン地区はパナマ最高峰のバル火山(標高3457メートル)の南側に位置するコーヒー産地。この地域のコーヒーは優れたボディを有し、エスプレッソに最適だと言われている
・コスタリカ南東部、コト・ブロス地域と国境を接するレナシメント地区。標高1000~1350メートルでもっとも高いところは、ピエドラ・カンデラ地域(1200~1350メートル)
パナマのコーヒー輸出
・輸出量は約5万袋程度。
・2000年前半、「ベストオブパナマ国際審査会」などにより、パナマスペシャルティコーヒーが日本に紹介され、良質な甘味を持つことで注目された
・2004年同審査会でゲイシャが登場。華やかで花のような強い個性が大きな話題に。
[ジャマイカ]
「ブルーマウンテン」とはCIBが規定した限られた地域で採れるコーヒーをいう
ジャマイカの自然環境
・国土の5分の4が平均高度500mの山地
・国土の大部分は短く低い山稜の連なり
・島東部に最高峰2256メートルのブルーマウンテン山脈が東西に伸びている
・ブルーマウンテン山脈では昼夜の寒暖差が大きく、霧の発生も多いことから、良質なコーヒー産地になっている
コーヒー産業の発展
・ジャマイカではもともとスペインから継承したココア、タバコ、綿花などの栽培をおこなっていた
・1727年に起きたハリケーンで、それまで栽培していたココアが壊滅的な被害を受け、コーヒー栽培へ転換することに
・ジャマイカに苗木が、持ち込まれたのは1728年、本格的な輸出が始まったのは18世紀末
・1930年代にイギリス政府の復興策、1980年代には日本企業の生産支援により積極的な生産活動が行われるようになった
・現在はCIB(コーヒー産業公社)が品質管理を行う
中・南米・カリブ海編は以上です。
次回は第5章、コーヒーの産地「アジア・太平洋地域編」について学んでいきます。
「第1章 コーヒーマイスター」前編
https://www.hagukumuhito.net/news/?mode=detail&article=1122
「第1章 コーヒーマイスター」後編
https://www.hagukumuhito.net/news/?mode=detail&article=1123
「第2章 コーヒーとカフェの歴史」1部
https://www.hagukumuhito.net/news/?mode=detail&article=1128
「第2章 コーヒーとカフェの歴史」2部 コーヒーの栽培
https://www.hagukumuhito.net/news/?mode=detail&article=1127
「第2章 コーヒーとカフェの歴史」3部 カフェの歴史(1)イギリス・フランス編
https://www.hagukumuhito.net/news/?mode=detail&article=1129
「第2章 コーヒーとカフェの歴史」3部 カフェの歴史(2)イタリア、ウィーン・ドイツ編
https://www.hagukumuhito.net/news/?mode=detail&article=1130
「第2章 コーヒーとカフェの歴史」3部 カフェの歴史(3)アメリカのコーヒーハウス編
https://www.hagukumuhito.net/news/?mode=detail&article=1132
「第2章 コーヒーとカフェの歴史」⑤ カフェの歴史(3)日本のカフェ
https://www.hagukumuhito.net/news/?mode=detail&article=1138
「第3章 コーヒーの生豆」①コーヒー生豆とは何か
https://www.hagukumuhito.net/news/?mode=detail&article=1141
「第3章 コーヒーの生豆」②コーヒーの品種
https://www.hagukumuhito.net/news/?mode=detail&article=1149
「第3章 コーヒーの生豆」③コーヒー生豆の生産処理」
https://www.hagukumuhito.net/news/?mode=detail&article=1158
「第3章 コーヒーの生豆」④ コーヒー生豆の生産処理 (2)
https://www.hagukumuhito.net/news/?mode=detail&article=1161
「第3章 コーヒーの生豆」⑤ コーヒー生豆の見分け方
https://www.hagukumuhito.net/news/?mode=detail&article=1163
「第4章 コーヒーの栽培・生産過程(1)」
https://www.hagukumuhito.net/news/?mode=detail&article=1167
「第4章 コーヒーの流通経路」
https://www.hagukumuhito.net/news/?mode=detail&article=1169
「第4章 コーヒーの国際取引」(1)
https://www.hagukumuhito.net/news/?mode=detail&article=1174
「第4章 コーヒーの国際取引」(2)
https://www.hagukumuhito.net/news/?mode=detail&article=1180
「第4章 コーヒーの国際取引」(2)
https://www.hagukumuhito.net/news/?mode=detail&article=1180
「第4章 スペシャリティコーヒーの登場」
https://www.hagukumuhito.net/news/?mode=detail&article=1181
「第4章 サステナブルコーヒー」
https://www.hagukumuhito.net/news/?mode=detail&article=1182
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・28歳で慶應義塾大学SFC入学 ・卒業後、株式会社豆乃木を2011年に創業
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