第5章に入り「コーヒーの産地」のひとつひとつの国をフォーカスしています。
今日はアジア、太平洋地域です。
「第5章 コーヒーベルトの国々」①中・南米・カリブ編
https://www.hagukumuhito.net/news/?mode=detail&article=1184
[アジア・太平洋地域の主なコーヒー生産国]
・アジアでもスペシャルティコーヒーの動きが活発になってきている
・多くの島からなるインドネシアでは、スマトラ島のマンデリンをはじめ、ジャワ、スラウェシなど個性的ナコーヒーがある
・マンデリンは独特のコクを持つ
・インドの高品質なコーヒーはイタリアなど欧州が主要な市場
・ベトナムは世界第2位の生産国、主にカネフォラ種の生産
[ハワイ]
ハワイ・コナは火山灰の影響を受け、肥沃な土壌で栽培され、希少価値が高く人気がある
ハワイの自然環境
・火山性の肥沃な土壌に適度な降水量があるうえ、昼夜の寒暖差が大きく、栽培に適した条件がそろっている
・ハワイ島コナ地区には、広い範囲でよく雲がかかることがあり、それが直射日光を防ぐ効果ももたらしている
・霜の降る心配もない
コーヒー産業の発展
・主にハワイ島のマウナロア、ファラライ両山の西側斜面(海抜250メートル~800メートル)のコナ地区で栽培
・豆の品質は高く評価されているが、労働コストがかかり、栽培地域も限られていることから観光農園になるところも
・日系移民とのかかわりも深く、約半数が日系のコーヒー農園だと言われている
ハワイのコーヒー
・ほとんどがアメリカ本土で消費、日本には2割程度
・「ハワイ・コナ」と呼ばれるコーヒーは1ポンド(=約0.453kg)中の欠点豆の数、豆の大きさにより、上から「コナ・エクストラ・ファンシー」「コナ・ファンシー」「コナNo.1」に分類され豆は大粒で品質は良好
[インドネシア]
マンデリンは生豆の状態で乾燥させる処理方法により、独特の風味になる
・インドネシア輸出組合(AEKI)と政府の協力で生産性の改善・市場開発を進めている
インドネシアの自然環境
・赤道を挟んで東西に長く伸びた約17,000の島々からなる世界最大の島嶼(とうしょ)国家
・国土の大部分が山地で、赤道直下の熱帯雨林気候とモンスーン気候とにわかれるが、気温や降水量は地域や標高によって著しく異なる
・インドネシア海域東部にある環太平洋造山帯の影響で火山活動が活発なことが火山性の肥沃な土壌をつくっている
コーヒー産業の発展
・インドネシアでは、オランダ人によってインドから移植されたアラビカ種をはじめ、古くからコーヒー栽培がされてきた
・先住民の労働力を使ったプランテーションにより、1712年にはオランダに輸出されるまでになった
・1877年サビ病でアラビカ種が全滅、カネフォラ種(ロブスタ)に転作し、現在、世界第4位の生産国となった
インドネシアのコーヒー
・日本へのコーヒーの生豆輸入量はブラジル、コロンビア、 ベトナムに次ぐ第4位
・アラビカ種とカネフォラ種が栽培され、生産処理方法や工程による味覚のバリエーションが楽しめる
・通年コーヒー栽培でき、早いところでは、11月半ばくらいから収穫がはじまる
・主な産地はスマトラ島、ジャワ等、スラウェシ島
・約90%がカネフォラ種(ロブスタ)
・ロブスタは、水洗処理方式であるWIB(オランダ語)で「西インド式精製処理」、ナチュラル方式であるAP(磨かれた)、EK(輸出品質を意味する)に仕上げられる。
・スマトラ島「マンデリン」、スラウェシ島「カロシ」「トラジャ」は特定銘柄に指定
・「マンデリン」は「マンダイリン族」から由来する説がある
・インドネシアのコーヒーの格付けはスクリーンサイズと欠点数で決まる
インドネシアのコーヒー生産処理方式(スマトラ式)
・果肉除去で水をほとんど使用せず、果肉除去後5時間程度乾燥(1日程度の醗酵処理を取る場合もあり)して脱殻。生豆の状態で乾燥させるのが特徴
・この方法により4~5日で生豆まで仕上げることができ、雨の多い地域でいかに短時間で生産処理をするかを考慮した方法
・これにより独特の酸味とコクが生み出される
[インド]
アラビカ種ではアジア最大、アラビカ種トカネフォラ種の生産国
コーヒー産業の発展
・インドはベトナム、インドネシアに次ぐアジア第3のコーヒー生産国
・アラビカ種ではアジア最大の生産量を誇る
・サビ病対策もあり現在では約70%がカネフォラ種の生産
インドのコーヒー
・インドのコーヒーは西部地方のカルナータカ集、ケレーラ州、タミール・ナドゥ州などで古くから栽培されていたが、最近は東部、北東部にも新しい生産地が広がっている
・収穫はアラビカ種が11月ごろから、カネフォラ種が1月から3月頃まで行われる
・アラビカ種、カネフォラ種ともに非水洗処理方式と水洗処理方式で生産処理される
・生産コストの増大や害虫被害などの影響を受け、アラビカ種からカネフォラ種への植え替えをおこなう生産者も増え、カネフォラ種の生産量が70%を占める
・主な輸出先は、イタリア、ロシア、ドイツ、ベルギー
・近年は国内消費も増え、生産量の3分の1にのぼり、特に南部の都会を中心に飲用されるが、チコリー(キク科の多年生野菜)と混合したものが飲まれることもある
・独特の乾燥方法により「モンスーンコーヒー」と呼ばれるコーヒーが楽しめるのも特徴の一つ
・スクリーンサイズで格付け、欠点数やピーベリーの混入の程度が設定される場合もある
[ベトナム]
近年成長著しいベトナムのコーヒー。世界最大のロブスタの生産国。
人口の6割強が先住民、先住民がコーヒー産業の発展に寄与
ベトナムのコーヒー産業
・ベトナムには1865年~1876年の間に約40万本にものぼるアラビカ種の樹が移植された。その後の戦争で壊滅状態に。
・南北統一後、1988年に発令されたドイモイ政策の一環としてコーヒー栽培が進められるようになった
・インドを超え、世界最大のカネフォラ種の生産国に
ベトナムのコーヒー
・カネフォラ種のほとんどは非推薦方式
・主な栽培地域は高原地帯で、中部ダクラク、中南部ランドン、南部ドンナイで収穫は10月頃から
・主な輸出先はドイツ、アメリカ、スペイン、イタリア。日本も主要輸出先の一つ。
・国内消費は数%
・ベトナムコーヒーとは、あらかじめ受け皿となるカップにコンデンスミルクをいれ、細かく粉砕したコーヒーを、底に細かい穴を多数あけたアルミやステンレス製のフィルターを用いて濾過する。抽出に10分以上かかる場合も多く、濃厚で独特な苦く甘い味。
・ベトナムのコーヒーはスクリーンサイズと欠点数で格付け
アジア・太平洋地域編は以上です。
次回は第5章、コーヒーの産地、いよいよ「アフリカ編」にて完結となります。
「第1章 コーヒーマイスター」前編
https://www.hagukumuhito.net/news/?mode=detail&article=1122
「第1章 コーヒーマイスター」後編
https://www.hagukumuhito.net/news/?mode=detail&article=1123
「第2章 コーヒーとカフェの歴史」1部
https://www.hagukumuhito.net/news/?mode=detail&article=1128
「第2章 コーヒーとカフェの歴史」2部 コーヒーの栽培
https://www.hagukumuhito.net/news/?mode=detail&article=1127
「第2章 コーヒーとカフェの歴史」3部 カフェの歴史(1)イギリス・フランス編
https://www.hagukumuhito.net/news/?mode=detail&article=1129
「第2章 コーヒーとカフェの歴史」3部 カフェの歴史(2)イタリア、ウィーン・ドイツ編
https://www.hagukumuhito.net/news/?mode=detail&article=1130
「第2章 コーヒーとカフェの歴史」3部 カフェの歴史(3)アメリカのコーヒーハウス編
https://www.hagukumuhito.net/news/?mode=detail&article=1132
「第2章 コーヒーとカフェの歴史」⑤ カフェの歴史(3)日本のカフェ
https://www.hagukumuhito.net/news/?mode=detail&article=1138
「第3章 コーヒーの生豆」①コーヒー生豆とは何か
https://www.hagukumuhito.net/news/?mode=detail&article=1141
「第3章 コーヒーの生豆」②コーヒーの品種
https://www.hagukumuhito.net/news/?mode=detail&article=1149
「第3章 コーヒーの生豆」③コーヒー生豆の生産処理」
https://www.hagukumuhito.net/news/?mode=detail&article=1158
「第3章 コーヒーの生豆」④ コーヒー生豆の生産処理 (2)
https://www.hagukumuhito.net/news/?mode=detail&article=1161
「第3章 コーヒーの生豆」⑤ コーヒー生豆の見分け方
https://www.hagukumuhito.net/news/?mode=detail&article=1163
「第4章 コーヒーの栽培・生産過程(1)」
https://www.hagukumuhito.net/news/?mode=detail&article=1167
「第4章 コーヒーの流通経路」
https://www.hagukumuhito.net/news/?mode=detail&article=1169
「第4章 コーヒーの国際取引」(1)
https://www.hagukumuhito.net/news/?mode=detail&article=1174
「第4章 コーヒーの国際取引」(2)
https://www.hagukumuhito.net/news/?mode=detail&article=1180
「第4章 コーヒーの国際取引」(2)
https://www.hagukumuhito.net/news/?mode=detail&article=1180
「第4章 スペシャリティコーヒーの登場」
https://www.hagukumuhito.net/news/?mode=detail&article=1181
「第4章 サステナブルコーヒー」
https://www.hagukumuhito.net/news/?mode=detail&article=1182
「第5章 コーヒーベルトの国々」①中・南米・カリブ編
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【自己紹介】
・静岡県浜松市生まれ
・青年海外協力隊3カ国経験
・28歳で慶應義塾大学SFC入学 ・卒業後、株式会社豆乃木を2011年に創業
・現在第12期目
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