それは一本のメールでした。
アルトマヨの森保護区に配属されているという彼からのメールは、このような内容でした。
「自然保護区は政府の管轄ではあるのですが、保護区内にも住んでいる住民がおり、彼らはアグロフォレストリー、有機農法でコーヒーの生産をしています。
保護区内の住民は私の配属先でもある環境省と環境保全協定を結び、私も含め配属先では住民に技術協力や生計向上支援を行っています。自然保護区のため、道路の拡張はできず生活に制限はある中ですが、保全協定を結ぶ住民で組織された組合を中心として、自然を守りながら高品質のコーヒー豆を生産しています。
現在も、年間で270トンほど生産されており、そのほとんど97%は輸出されています。ディズニーランドのオフィシャルスポンサーでサプライヤーでもあるJoffrey’s coffee and teaでもアルトマヨの森のコーヒーが販売されています。
年々この保全協定を結ぶ住民も増え、それに伴って生産量も右肩上がりの中で販路拡大は必至です。そこでこの保護区での取り組みに賛同していただけて、輸入いただくことにも興味を持ってくださる喫茶店やコーヒー専門店、卸業者のオーナーさんやスーパーマーケットのバイヤーさんを探しており、まずこのコーヒーとアルトマヨの森のことを知ってもらえたらなと思っています。」
その後、2023年6月8日に、毛笠さんがアルトマヨの森のコーヒーを携えて、当社を訪問してくださいました。
この時点で、わたしたちは、すでにペルー国内の2つのコーヒー生産者団体のコーヒーを扱っていることもあり、正直、これ以上のペルー産のコーヒーを購入する意向はありませんでした。
どちらかと言えば、熱心な隊員さんの思いを、一旦受け留めて、何かしらお役に立てる情報が提供できれば、というふうに思っていました。
2023年8月のペルー訪問の際も、サン・マルティン州を訪れることはありませんでした。
しかし、今年の5月に、再び毛笠さんから「レインフォレスト・アライアンス(RA)*取得」の報告をいただき、オンラインミーティングのお声掛けをいただいたときには、かなり前向きな気持ちが芽生えていました。
2016年には「フェアトレード認証」も取得している団体で、認証商品を含めた商品展開を考えていた私には興味深いものでした。
さらに、「レインフォレスト・アライアンス(RA)」の取得は自然保護区内の組合としては、世界で初めてのことだそうです。
毛笠さんの配属先であるアルトマヨの森保護区事務所と国際NGOのコンサベーション・インターナショナル(C.I.)と共に取り組むことで厳しい要件をクリアすることができたとの報告がありました。
1年前に毛笠さんからいただいたアルトマヨの森のコーヒーサンプルには、実は十分に手応えもありましたが、それでも、コンテナでの輸入となると自信がありませんでした。しかし、この1年で、ひょっとしたら、株式会社豆乃木は、少しだけですが「輸入者」としての自信がついたのかもしれません。
オンライン上ではありますが、ペルーの森の番人たちの笑顔に惹かれ、日本の若者の熱意に触れ、そして何よりも、「アルトマヨの森」という言葉の響きにすっかり惹かれた私。
ミーティングの最中に、“Voy a comprarlo”(コーヒー買います!)と名乗りを挙げていました。
その後も、いくつものWEBサイトで「アルトマヨの森」に関する記事を読みながら、このコーヒーは、きっとわたしたちにとって、とても大切なコーヒーになると確信しました。わたしたちのお客様にとっても同様に、大切なコーヒーになればと願わずにはいられません。
メキシコ産マヤビニックでは「先住民である生産者」にフォーカスをしてきました。今回の主役は「アルトマヨの森」。わたしたちが暮らす地球や自然環境がテーマになります。人と動植物、森や水・・・すべてが持続的に共生する大切さを、甘みと柑橘系の酸味のあるやわらかなコーヒーが教えてくれます。
これが私たち、そしてみなさんとアルトマヨの森のはじまりの「物語」です。