メキシコ市を歩く
マンサニージョへ行かなくなったことでの消化試合というには贅沢すぎるベラクルス州ハラパやコアペテックでの時間を噛みしめる間もなく、メキシコシティに来た。アエロメヒコの深夜便までには12時間以上もあったから、街に出ることにした。
せっかく、敢えてアエロメヒコの「ベラクルス-メキシコシティ」便を抑えたのだが、深夜便の成田への接続はそれほど容易ではないようで、一旦大きな荷物を取り出さなければならなかった。
さすがにメキシコシティの街中をこのスーツケースで歩くわけにはいかないと、周りを見渡すと、荷物預かり所を発見。良かった良かった、と荷物を渡すと「もういっぱいで預かれない」という。
そう、この規模の空港にして、ロッカーの個数が小さな町の銭湯よりもさらに少ないのだ。
「ターミナル1へ行けば空いているかも」
という不確かな情報だけを頼りに空港バスでターミナル1へ移動。
初めて来るターミナル1の中をキョロキョロしながら、なんとかロッカーに預けることができた。
ロッカーと言っても日本のようにセルフサービスではなく、荷物番に預け、番号を受け取り、お金を直接払うシステムになっている。
今回、wifiモバイルルーターがあったのは、随分と役に立った。メキシコの街中も、Googleマップで目的地を定めれば、バス停までは徒歩何分で、どのバスに乗れば良いかを、日本同様に教えてもらえるから、迷うことがない。
2014年、ひとりでコヨアカンまで来た時には、よくわからないバスに乗ってしまい、ひと気のないところで、バスを降ろされ、そこからまたタクシーに乗って軌道修正をする、という無駄足が何度かあって、正直、この大きな街に降り立つことをためらうほどだった(詳しくは http://www.hagukumuhito.net/news/?mode=detail&article=126)。しかし今回、wifiのおかげで、一気に戦闘力があがり、余裕を持って散策ができた。
今回もコヨアカンまでは空港からタクシーで。カフェへ行き、しばらく散策して、中心街(historico centro)へはバスで。セントロで何軒か行ってみたいレストランがあって、そこも難なく廻れた。お腹もいっぱい。
最後はスマホの充電が切れそうだったので、スタバでチャージ。(やっぱりメキシコでもスタバに頼ってしまった。)
無事に充電ができた頃には21:00近く。
2016年に行ったロサンゼルスで、現地の人から教わったタクシー配車サービスアプリUberを久しぶりに起動。事前に、Uberはメキシコシティでも十分に機能していると聞いていたので、満を持して立ち上げる。
目的地を空港に定め、反応を待つ。
行きのタクシーは、コヨアカンまで280ペソを払ったのだが、今回、中心街から空港までわずか60ペソの表示。怪しい…と思いつつ、出動要請。〈ピックアップまで7分〉の表示。
使ったことがある人はご存知だろうが、こちらの場所もGPSで送られているので、わざわざ○○のスタバにいる、という必要はない。さらに、マップ上に車のアイコンが表示され、その車が私がいる場所に「おお、近づいてきている、近づいてきている」と確認できる。ドライバーの小さな顔写真と名前、車種、車番が表示されるので、「すごいいかつそうな人」ではなさそう、ということでひとまず安心する。
そしてほぼ時間通りに現れたプジョー207に乗ると、「Hola, Seikoだよね?」と声を掛けられる。後部座席に、もうひとりメキシコ人が乗っていたけれど、終ぞ彼は物事を発することなく、先に私が空港で降ろされると、すぐさま、メールで領収書が届く。支払いはすべてカード。
とにかく時間通りに第1ターミナルへ到着。ロッカーで荷物を受け取り、再び第2ターミナルまでバスに乗らなければならない、という手間はあったけれど、深夜1:50の便はほぼ定刻通りに成田に向けて飛び立った。
日本帰国
少しメキシコシティの歩き方を攻略した感のある今回の短い滞在。wifiなんてなかった頃は、どんな旅をしていただろうか。
私は居心地の良いところが大好きで、帰国して、成田空港のトイレに入る瞬間に、これ以上ないというほどの、喜びをかみしめるくらいなので、決して旅人にはなれないけれど、メキシコに関して言えば、もう少し、動ける範囲を広げていけたら、もっときっと、おもしろいものに出合えそうな気がしている。
成田帰国後、車を拾ってそのまま浜松へ。私の「日常」はすでに始まっている。