27人のコーヒー生産者たちの取り組み
前回のつづきから。
カッピングスコアは83点前後。今季初めて収穫した豆であるから、これからもっとおいしくなるはず、と言うことだった。
たしかに、特筆すべきカップのキャラクターがあるわけではない(全体的にバランスがよく、クリーンではある)。けれど、たった27家族だけがつくるコーヒー豆でありながら、収穫を迎えたばかりのこの時期に、すでにサンプルを提供し、精製方法の違うコーヒーを用意し、第3者から、評価を得たいという「意欲」には、魅かれるものがあった。言ってみれば、とても前向きなのだ。サパティスタ*を支持する、世間と隔絶したような(現に村の入り口が、チェーンで「通せんぼ」してあるではないか)この村で、「よいコーヒーを作って売りたい」という意欲のある生産者さんがいることに驚く。
、メキシコで最も貧しい州とされるチアパス州を中心として活動するゲリラ組織である。単にサパティスタと呼ばれることも多い。サパティスタはチアパスの貧しい先住民族であるマヤ人のツォツィル族やツェルタル族(英語版)の農民を主体に組織されているが[1]、その支援者はメキシコ国内の都市部などにも幅広く存在し、またウェブサイトを介して世界的に宣伝を行っている。(wikipedia)
「市場の声」を届ける
視察自体、とても充実したものだった。今回、種子、ジュートバッグ、産業機械の保全のためのプラスチックバッグや、コーヒー生豆、そして焙煎豆を販売するJUS&COという会社の視察に同行した。チアパスを中心に、コーヒー生産者組合を熟知しており、代表のKimさんはコーヒーの知識にも深く、さらに日本に2年住んでいたことがあるため、日本語も堪能。鬼に金棒のKimさんに、これまで疑問に思っていたさまざまなコーヒーの木や栽培に関する質問を投げかけ、すべて回答をいただくことができた。
Kimさん自身も、コーヒーバイヤーである。いわゆる「ダイレクトトレード」で直接、組合や農家さんからコーヒー生豆を購入する。それだけではなく、今回のように、まずは最初の収穫分をカッピングした上で、コーヒーの特性を判断し、生産者に精製方法を指定または提案しているという。
「この地域のコーヒー豆はナチュラルでやっていきましょう」
と言う代わりに、全量買い取りを行う。そこに農家さんが対応する。
「市場の声を届ける」
それも私たちのように、直接生産者さんとつながる者の、重要な役割で、そのやりとりが実にスムーズに行われているのを見て、「なんてやりやすいのだろう」と思わないこともなかった。マヤビニックでは、なぜこれができない(または難しいと私自身も感じる)のだろうか。
サンラファエルのコーヒー農園視察
私たちが「見たい」と言ったいくつかの品種ごとの木を見せてもらう。このときはまだ余裕があったが、のちに2kmの道なき道の登り下りで、ダウン寸前に・・・
険しい山道の途中の休憩場所
コーヒー農家さんの体力を見せつけられた視察。険しい山道の途中に、コーヒーチェリーを集積する場所がいくつかあります。ここで、野生のバナナを食べながら、みんなで休憩をした
サン・ラファエルの農家さんと
ゲイシャを数年前から育てており、今年収穫を迎えているとのことで、見せてもらうことに。この地域は天気の移り変わりがあり、曇りが多く、シェードツリーがなくても良いそう。
コーヒー生産者さんとの意見交換や質疑応答
お互いに意見を出し合います。農家さんの「生」の声を聴くことができる貴重な機会でした。やっぱり生産の原動力は「適正な価格で買ってくれる人」がいるからこそ。それを実感しました。