産地訪問は体力勝負
今回の産地訪問、朝6時に出発して、宿に着いたのは21時すぎだった。片道4時間の道のりの半分が舗装されていない道であり、その中には、踊るように揺られていく道もある。さらに、農園へ行くと、コーヒーの樹々の間をかきわけながら、急斜面を下って登っての片道2km。
着ていた上着を脱ぎ、背負っていたデイバッグは若い生産者さんが「持つよ」と言って運んでくれた。粘土質の土で派手にしりもちをつき、結局旅の終盤までその痛みを引きずっていた。
全身はヘトヘト。
ジーンズはベトベト。
靴もドロドロ。
疲れ果てて、宿に帰ってまずしたことは靴を洗うことだった。珍しく食欲もなく、そのまま熱いシャワーを浴びると、倒れ込むように寝てしまった。産地に連れていってくれたKimさんがぽつりと言ったのは、「女性でひとりで産地を訪問するのはいろいろと大変なことです」と。いつもだったら威勢よく「全然、大丈夫ですよ!」と言えたのに、さすがにこの日、私は「10年後もやっていられるだろうか」と考えてしまった。
だけども、やっぱりそんな疲労を一発で上塗りしてくれるほどに、「コーヒー」はおもしろい。車から、土に足を踏みしめるとき、「よし来たー!」と体が喜ぶカンカクは、最初に産地を訪ねたときよりも、大きくなっているかもしれない。だからこそ、もっと楽しむために、もっと体力が欲しい。貯えるのべきは、コーヒー豆を調達する資金だけではなさそうだ。
ここからが「地獄」のはじまり
体力には自信があったはずなのに、そんな自信は素早く回収し、みんなに甘えながら、アップダウンの激しい農園をめぐりました。見たい木を見せてもらって、しっかり勉強もさせてもらえた。
戻ってきたときには座り込んでしまった
いつの間にか撮られていた写真。疲れ果てていたけれど、教えてもらったことを、必死にスマホにメモしている様子。産地では、ここでしか学べないことがたくさんある。だからこそ飽きない。
生産者さんのおうちでお昼ご飯をごちそうになりました
お鍋を温めたあと、この白い石?の上でトルティージャを温めてくれました。ガスはないので、薪で火を起こしてお料理を作るのは、ここでは当たり前のスタイルだとは。
鶏のスープは絶品
サンクリストバルから片道4時間の小さな町には、食堂なんてどこにもない。というわけで、農家さんのおうちで、野飼いのpollo(鶏肉)のスープを用意してくれた。chayote(チャヨテ)という瓜がトロッとしていておいしい。ほんとはpolloもたくさん盛ってくれたんだけど、疲れすぎて食べられず、腹を空かせた同行の若者に食べてもらう・・・
コーヒーとの出会い
この村で生まれ、物心ついたときには、コーヒーのある生活に中にいて、やがて成長して、自分自身でもコーヒーを作り、育て。 家族を養い、そして、子どもたちにまたコーヒー農園を受け継いでいく。 その営みの中で、相違工夫を重ね、新しい種類のコーヒーづくりにもチャレンジし、毎年毎年改良を重ねていく人たち。 「彼らのコーヒーを届けたい。」 そう思えるコーヒーとまた出会ってしまった。