突然ですが、豆乃木が運営する「フェアトレード&オーガニックコーヒー生豆 Te to Te(てとて)」では、ほとんどのお客様がコーヒー生豆をご購入されます。ご購入いただく際に、私たちは、私が毎月発行している「豆乃木新聞」を同封させていただいています。
今月は、お客様からいただいた一通のメールを取り上げさせていただきました。
こちらに、すべての内容は掲載いたしませんが、次のような内容でした。
2017-2018のマヤビニック新豆を購入、ハンドピックしてみましたが、ちょっとどうしてもお伝えしたいことがあります。 (中略)それは生豆の状態のことです。農産物でありオーガニックで生産しているので栽培が非常に難しいですし、品質にばらつきが出てしまうのは仕方がないこととは思いますが、他の東ティモール・コカマウ組合の豆やペルー・カフェオルキデアの豆と比較すると、明らかに豆のクオリティーが低いように感じます。 |
たしかに、私たちが享受する、し好品としてのコーヒーは、マヤビニックの生産者の皆さんにとっては「現金を得る手段」です。
村に行くと、自ら織った民族衣装を着た女性が、薪で火をたき、食事を作る光景が見られます。放し飼いにしている鶏を絞め、庭先で育てる野菜の入ったスープはとてもおいしい。主食のトルティージャは家から少し離れた山間で栽培されるとうもろこしが原料になっています。つまり、ほとんどが自給自足で、唯一の現金を得る手段がコーヒーであるため、ご指摘の通り【収穫量がすべて】といえば、その通りなのです。
品質の良い豆、劣る豆あるかもしれませんが、1キンタルあたりの金額は決まっています。では、品質良し悪し、標高の高低でランクをつけて、価格を変えてはどうか、という提案もしましたが、組合の理念において、それはふさわしくないとのこと。
同じく、豆乃木で直輸入した同じメキシコのセスマッチ組合のように、すべての生産者さんのコーヒーをカッピングし評価する、という団体があることも事実です。そういう意味では、マヤビニックの皆さんは「品質に意識が及んでいない」のかもしれません。
そのうえで、私はもしこれが「フェアトレード」故の問題点だとしたら、これを打破するには、どのようにしたらよいのか、と考えてみました。そのメモがこちらです。
・フェアトレードでは、個々の小規模農家がまとまり協働で生産者組合を作ることで、メンバー全員で生産能力を高める取組みをしたり、市場と直接つながり交渉力を身につけ組織を発展させていったり、フェアトレードの利益によって地域社会を発展させていくことができるようになる。 ・一方で、生産者されたコーヒー豆は、集荷されたときにひとまとめにされるために、個人個人の、コーヒー自体の品質をそれほどまでに追及されることはない。この「匿名性」こそが、組合組織となった際の問題点になり、フェアトレードコーヒーを販売する上での足かせにもなる。 つまり、 (1)品質 (2)マネージメント (3)マーケティング 組合運営の中に、上記を「仕組み」として取り入れなければならない。 例)セスマッチ組合が実践する「全農家のコーヒーサンプルのカッピング」 【以下、雑感】 輸入者である豆乃木から、「仕組みの導入」を提案し、採用されるためには、より強い信頼関係が必要になる。彼らにとっても最大の買い手であるアメリカが「良し」としているうちは、彼らは変わらない。他国のバイヤーさんとの協力も不可欠。(第一、コーヒー生豆を保護するグレインプロ導入に3~4年の時間がかかった経緯がある。そのときよりは、ずいぶんと信頼関係も積み上げてきた。しかし、全農家を巻き込んでの仕組みづくりは、一朝一夕では終わらない。) もし潤沢な資金があったなら、資金力で押し付けられたかもしれない。しかし、そういうわけではないし、そんな関係は望んでいない。だからと言って「品質」ををあきらめない。あきらめたくない。だからこそ、毎年最低2回は産地に足を運び、交流・対話・小さな改善を重ねることでしか、組合の体制は変えられないだろう→彼らと過ごす時間が足りない。 【時間を補うためにどうするか?】ここが最大の課題。 |
さあ、終わらない挑戦が続きますが、このことに継続してアタックできることも、フェアトレード故かもしれません。時間をかけてでも、彼らのコーヒーを信じてみたい、そういうパワーをマヤビニックに感じるからです。