世界各国のコーヒー消費量が毎年発表されますが、北欧各国がランキングトップを占めることが多いのは周知のとおりかと思います。
一方、コーヒー新興国の中で、消費量を伸ばしているが、中国。ここ数年で中国は、コーヒー消費大国になりました。
今日は、中国のコーヒー消費が急増している事実と、消費UPをけん引しているラッキンコーヒーという会社について紹介します。
中国でコーヒー消費急増 世界の産業チェーン再構築
【3月17日 Xinhua News】ここ数年、コーヒーはますます中国人の新たな消費の選択肢となり、中国もコーヒー消費大国になった。同時に、中国市場での消費量の急増が世界のコーヒー産業チェーンの再構築を引き起こしている。国際コーヒー機関(ICO)のデータによると、中国のコーヒー消費量は毎年15%前後のスピードで成長しており、世界平均伸び率をはるかに上回っている。市場規模は2025年までに1兆元(1元=約15円)に上る見込みだ。
市場の急成長により、業界大手が布石を加速している。13日、スターバックス中国コーヒーイノベーション産業パークが江蘇省(Jiangsu)昆山市(Kunshan)に正式に入居し、業務分野は製品の研究開発、コーヒー豆の輸出入、焙煎(ばいせん)、包装、貯蔵、物流・配送、マーケティング、人材養成など産業チェーンの各部分を網羅する。第1期の投資額は1億3000万ドル(1ドル=約106円)。
まず気になったのが中国江蘇省昆山市ってどんな場所?と思って調べてみると、
昆山市は上海と蘇州の二大都市の中間点に位置し、多数の外国企業が立地。 中国政府の改革開放政策のモデル都市として、製造業を中心に発展しており、中国国内でもインフラの整った経済的に最も成功した市であると言えるだろう。 |
パークの目玉となるコーヒー焙煎(ばいせん)工場は2022年に操業を開始する予定で、米国外にある生産能力が最も強い焙煎工場として、中国国内のスタバ店舗に新鮮な焙煎コーヒー豆を供給する。
スターバックス社長兼最高経営責任者(CEO)のケビン・ジョンソン(Kevin Johnson)氏はこの産業パークを同社のアジア太平洋市場への初めての生産的戦略投資と位置づけ、「中国は最も重要な市場の一つだ」と強調した。
スターバックス中国の王静瑛(Wang Jingying)CEOは「ウイルス感染で、一時的な困難と挑戦にぶつかっているが、中国市場で長期的な発展を図るというわれわれの決意は揺るがない」と語った。
海外大手が次々と進出する中、中国の地元新興ブランド、瑞幸珈琲(ラッキンコーヒー、luckin coffee)も国内市場の開拓に取り組んでいる。2019年末時点で、同社の直営店は4500カ所を超え、中国最大のコーヒーチェーン・ブランドとなった。(c)Xinhua News/AFPBB News
中国の新興カフェチェーン「瑞幸珈琲(luckin coffee、ラッキンコーヒー)」ってどんな会社? ラッキンコーヒーは、2018年1月に北京に1号店をオープンした後、爆発的なスピードで店舗数を増やしている。1号店のオープンからわずか1年で店舗数は2000を超え、2019年末時点では4507店舗に達した。これは1999年に同国に進出したスターバックスの中国国内店舗数を上回っている。 |
中国版スタバと呼ばれる上海本拠の「luckin coffee(瑞幸珈琲)」は中国の脅威の象徴。
— Minato (@minato_career) January 2, 2020
まだ設立2年。店舗数は一昨年末時点で1189店舗だったが、昨年末には3680店舗に。
1999年に中国展開を開始したスタバは20年かけて約4000店舗。アプリ注文メイン。
日本もこんな国と戦わなきゃいけないのか… pic.twitter.com/h9XvA4Xcwq
中国・luckin coffee VS スターバックス
中国コーヒーチェーンマーケットでは、長きにわたって市場を耕し、消費者を“教育”してきたスタバが圧倒的なブランド力を持つ。
2000年代、コーヒーを日常的に飲む文化がない中国にあって、スタバのドリンク価格は一般的なランチの数倍した。それでも都市部の若者から「トレンド」「ファッション」として受け入れられ、2010年ごろから出店を加速。2017年12月には上海に世界最大規模の旗艦店をオープンした。
今では中国でも、コーヒー豆やドリップ、インテリアにこだわったカフェが珍しくなくなった。
luckin coffeeはスタバが育てたコーヒー市場を急襲し、猛スピードでシェアを奪っている。
luckin coffeeの特徴は、「行列に並ばずに買える」という点だ。
注文はスマートフォンアプリから行い、その場で決済も完了する。購入者は、コーヒーの出来上がり時間に店舗に足を運び、店員にQRコードを見せてコーヒーを受け取るだけだ。行列に並んだり、レジで決済したりする必要はない。
ただし、このラッキンコーヒー、多くの店舗ではくつろげない。というのも、ラッキンコーヒーは、テイクアウト専門の店舗を中心に展開しているからだ。
ターゲットは、時短を求めるオフィス街の持ち帰り客。コーヒーを購入するのにかかる時間を、極限まで短縮しているのだ。ソファに座ってゆっくりとくつろげるスターバックスとは、真逆のコンセプトともいえる。ラッキンコーヒーは、デジタルを活用して「短い時間でコーヒーが飲みたい」という消費者ニーズを捉えることに成功している企業である。
さらに、記事によると、スタバとラッキンコーヒーでは、「価格」にも違いがあるようです。
スタバでは、カフェラテが30元(約500円)くらいするのに対して、luckin coffeeは20元(約320円)前後の商品が多く、スタバより2、3割安い。「最近は出掛ける準備をしながらアプリでluckin coffeeのコーヒーを注文し、授業の前に受け取りに行く。」
というのが大学生のライフスタイルになっている様子をこちらの記事が伝えています。
ここまで見ると、ラッキンコーヒーがとてもうまく立ち回っているかのようですが、
2018年12月末、luckin coffeeの資金調達計画書が流出し、同社の赤字額が事業開始以来9カ月で、8億5700万元(約140億円)に上っている事実が明らかになったことがある。中国では規模拡大=必ずしもビジネスがうまく回っているわけではない。
という記述を見逃すこともできません。
まとめ
いずれにせよ、中国のコーヒー消費拡大は事実です。今後も、コーヒーの消費マップに大きな影響を与えるであろう中国のコーヒー消費拡大とラッキンコーヒーに目が離せません。