いよいよ首脳陣とミーティングを持つ機会があった。
以前はマヤビニック組合専従だったルイス(組合結成時からマヤビニックに関わり、非先住民にして、組合の中で大きな信頼を得ている。英語が話せるため組合の渉外担当)が、現在、別の仕事を掛け持ちしており(というよりもマヤビニックとはボランタリーな関わりへ切り替えた)、彼との調整がなかなかつきにくかったのだ。
ルイスの一家には、今年3人目となる男の子が誕生し、共働きだった奥さんが仕事をやめたことで、ルイスも組合からの報酬だけでは到底やっていけないということになったのだろう。そのため、多少関わり方が変わったかもしれないが、彼の組合への貢献には頭が下がる。
約束の時間にセントロから少し離れた組合の事務所に着くと、新しく建築中の組合事務所が。そしてそれは私の想像をはるかに超える大きさ。
現在はその隣に借用している事務所に機能を移動している。中から焙煎中のコーヒー豆の香りが漂ってくる。
「Hola!ブエナスタルデス」
そういって中に入っていくと、ルイスとふたりのアントニオがいて、よく来たね、と言って中に案内してくれた。
最初は他愛もない雑談。私がタパチュラで食べたトリッパのタコスがいかに美味しかったか、という話をしたら、脳みそのタコスは美味しいぞ、という話になり、タン(舌)は日本では食べるか、メキシコシティのタコス屋にあるけど、そういえばサンクリストバルよりメキシコシティの方が肉の種類が豊富だ、とかそんな話をした。
そしてこの頃ではお決まりになった
「Seiko、スペイン語が少し話せるようになったね。良かった良かった。」
といってわはははは、となる。
「今、コーヒーを淹れるから、お湯が沸くまで、隣の建設中の事務所を案内しよう」
そう言って、ルイスが私を連れ出してくれた。
1階には、
国内焙煎用の生豆の保管
焙煎機の設置(15kg釜)
カップテースティングルーム
商品梱包作業部屋
今まで混在していたものを、きっちりと区分けするという。
2階には、
事務所機能
ミーティングルーム
ミニキッチン
機材等保管庫
などが作られるとのこと。
そしてルイスが思いがけないことを口にした。
「ここにコーヒースクールのような機能を作りたい。そのためには、僕らがもっともっとハードワークして、知識を習得しないといけないから、時間は掛かると思うけれど。」
新しいことに消極的というイメージの強い組合から、自ら描いた「次なる夢」の話を聞けてとても幸せな気持ちになる。
そしてカフェスクールの設置にあたっては、日本側にいる私にも、貢献できることがありそうだ。
まだスケルトン状態の建物なのに、ルイスは、ひとつひとつ、
「ここは生豆の保管庫、ここは焙煎機、焙煎機はここまでの高さになるから、こうやって吹き抜けにしている、そしてここはミーティングルーム。僕らだけの少人数の打ち合わのときは、真ん中で仕切れるようにしているし、大きなミーティングのときは、仕切りをなくすこともできる。」
と、まるで自分の新居を話すように説明してくれる。彼には出来上がった状態がはっきり見えているようだ。その興奮が伝わってくる。
「Seikoはいつ帰るんだっけ?」
と聞くので、9月22日だと答えると、
「では、次回のお楽しみだね。」
と言った。
完成予定は10月初旬。
また隣の事務所に戻り、ルイスが用意したコーヒーをすすりながら、私たちの来年に向けたミーティングが始まった。
サビ病からのリカバリーの状況を確認しなければ。
翌日へつづく
正面から
まだ天井はこんな感じだけど、あと2か月で本当に完成するの??
正面から
まだ天井はこんな感じだけど、あと2か月で本当に完成するの??