ステイ先はセントロにある学校から徒歩1~2分程度で、立地は最高。そして屋上からの眺めは、昨日の日記以上に心を動かすものがあり、体中にびりびりと痺れるほどの高揚がある。
60代くらいの女性が家主、そこにグアナファトで働いているメキシコ人女性が間借りしている様子。立派な一軒家。日中は、近くの学校に通っている孫がふたり、家にやってきて、母親の仕事が終わる時間を待っているという。下の女の子はとても人懐っこく(小学校5年生くらいかな)、夜7時をすぎたころに、部屋にいる私を呼び出し、今から広場へ行こうという。上の子は、中学生くらいだろうか。下の子と比べるとずいぶんがっちりしていて、いつも少し照れくさそうにしている。でも歩き方やふと見せるしぐさはやんちゃ坊主そのもの、と言った感じで、ふたりとも可愛らしい。
とにかく、私は訳もかわらず、手ぶらで外に出て、そのキョウダイのあとをついて広場へ行く。広場と言っても、まさに街中なので、広場の周りを囲むようにカフェやグロッサリー、それからネットカフェやアイスクリーム屋さんなどがある。その先にはBarがあって、すでに7時をまわっていることもあり、生演奏が聴こえてくる。7時ではまだあたりは明るく、子どもたちの姿も多く見かける。8時頃にようやく日が暮れかけても、あまり人の数は変わらない。
その頃になると、子どもたちの母親が、ステイ先のビッグママ(と呼ぶことにする)と一緒に広場へやって来た。どうやらここが子どもたちと母親のいつもの待ち合わせ場所のよう。ビッグママと子どもの母親はパラソルのついたテーブル(そこに私がさっきから座っていて、子どもたちの飼っている2匹の犬を膝に抱いている。ちなみに私は小動物が少し怖い。)でコーラを飲み始める。しきりに私に何か飲まないかと声を掛けてくれたが、手ぶらで出てきた私は、遠慮してしまった。
たっぷり1時間、コーラを飲んでいるビッグママと子の母親。子だもたちの姿が先ほどから見えない。
「どこへ行ったの?」
と聞くと、一人はあっちの広場で友だちと遊んでいる、もう一人はネットしているでしょ、ほら、とのこと。広場を行き交う人が観光客なのか、地元住民なのかはよくわからないけれど、とにかく絵に描いた平和とはこういうことを言うのではないだろうか。陽気な音楽と子どもたちがボールを蹴る音、寄り添うカップル。どこを見ても、そしていつまで見ていても飽きない光景だった。
やがてネットカフェから出てきた上の子が、今度はボール蹴りに混じり、遠くの方で、妹がスナック菓子を食べながら友だちと歩いてくる。膝の上には生き物のぬくもりがあって、「21時になったらここを離れる」という21時まであと数分。それが彼女たちの日常らしい。
「ここはとても素敵な場所でしょ。」
私たちが佇んでいる広場のことを聞いている。この町に住んでいる人が、そういうんだから間違いない。私は深く何度も何度も頷いた。
21時をすぎても、なかなかボール蹴りをやめない子どもを、母親が睨みつけたり、口笛で呼んだりする。ようやく何度目かのゴールを決めて上の子が戻って来ると、いつの間にか、ふらふらとどこかへ行ってしまった妹を、今度は探す羽目に。遠くの方で、先ほどとは違うお友だちとおしゃべりをしている妹に声を掛けると、ようやくそこで一家が揃い、帰り道をゆく。
それにしても、この国は不思議だ。
21時に子どもたちがようやく家に帰る。いや、子どもたちのサッカーはまだまだ続いていた。途中の道で、親子と別れる。
「また明日」
と言って、一日路駐してあったと思われる車に乗っていってしまった。そして、家に着いて3食付のステイ先で初めて食べる夕ご飯はシリアルにフルーツ、そしてケサディアという日本人が「タコス」と呼んでいる皮(ソフト)に、チーズを挟んだシンプルなもの。(昼はスープにホットサンド。昼の方がどちらかと言えばボリュームがある。)
そして、私がお兄ちゃんだと思っていた子は、実は、とてもサッカーのうまい女の子だったこと。
21時に子どもたちがようやく家に帰る。いや、子どもたちのサッカーはまだまだ続いていた。途中の道で、親子と別れる。
「また明日」
と言って、一日路駐してあったと思われる車に乗っていってしまった。そして、家に着いて3食付のステイ先で初めて食べる夕ご飯はシリアルにフルーツ、そしてケサディアという日本人が「タコス」と呼んでいる皮(ソフト)に、チーズを挟んだシンプルなもの。(昼はスープにホットサンド。昼の方がどちらかと言えばボリュームがある。)
そして、私がお兄ちゃんだと思っていた子は、実は、とてもサッカーのうまい女の子だったこと。
さて、明日からもまたこの贅沢な時間を、体いっぱいで感じられるように、そろそろベッドに入ろう。宿題は明日の朝でいいよね。