この夏、私はイギリスのロンドンとウェールズを訪問し、フェアトレード先進国であるイギリスの消費者や企業がフェアトレードや認証商品をどのように受け入れているのか、また田舎の暮らしがどのようなものかを体験しました。
イギリスでは、スーパーや個人店で容易にフェアトレード商品やレインフォレストアライアンス商品、B Corp商品などを見つけることができ、日本よりもはるかに多くの商品に認証マークが付いていました。これはイギリスの企業や店舗がその意識を高く持っていることが伺えます。
特にスーパーの自社ブランド商品にフェアトレードマークが付いていることが多く、認証制度が企業や商品への信頼の一つの指標となっていることは間違いありません。
一方、日本とイギリスの大きな違いは、日本ではフェアトレード商品を取り扱うスーパーや販売店が少ないことです。私は、日本でフェアトレードが普及しない理由を消費者の知識不足や意識の薄さによるものだと思っていましたが、イギリスを訪れて、その原因の一つは、フェアトレード商品が魅力的で売れる商品を提供できていないからではないかと感じました。
イギリスのスーパーでは、認証マークのある商品と認証マークのない商品が区別されることなく同じ棚に並んでおり、消費者はブランドや品質、価格、デザインを比較しながら商品を選んでいます。認証マークを気に掛ける人もいますが、購入決定の最優先事項ではないため、認証マークの有無にかかわらず商品が一緒に陳列されているのです。これが、フェアトレード商品が無意識に購入されている理由の一つかもしれません。
ロンドンでの滞在後、ウェールズの田舎でホームステイをしました。村には信号がなく、ローマ時代の古い建物が残り、羊や牛が放牧されている風景が広がる自然豊かな場所でした。
滞在先の家は1820年から1830年頃に建てられた石造りの家で、家具はすべて中古品。良い家具を何代にもわたって使い続ける文化に触れ、ヨーロッパに根付く再利用の精神を再認識しました。また、ウェールズではゴミ処理も厳しく、各家庭でコンポストを行い、生ゴミを堆肥にして家庭菜園で利用しているとのことでした。数日間の滞在で、リサイクルへの意識が自然と高まり、ゴミを減らそうとする意識が芽生えました。
部屋から見える牧場と山の景色は、毎朝羊たちが草を食べる姿で癒され、ウェールズの生活は地球と人間が共存し、人々が互いに尊重し合う姿を体験させてくれるものでした。大自然と人々の親切さに触れ、心身共に健康になった数日間でした。
イギリスの都会と田舎の生活を通じて、都会では生産者や企業の顔が見えないからこそ認証制度を用い、田舎では顔の見える人とのつながりを大切にし、どちらも透明性をもって信頼しあえる関係性を構築し、健全で持続可能な社会づくりに取り組もうとしているという点では共通しているのだと思いました。
私も日本でフェアトレード商品の普及を進めるため、魅力あるフェアトレード商品を「まだゆめのつづき」から販売していきたいと考えています。