バリスタ兼ロースターのフェルミンが焙煎をしているところだった。
サンクリストバルに行ったら、ぜひ訪ねてほしいのだが、恐らく、いや間違いなく、サンクリでは一番美味しいコーヒーを飲ませてくれるのが
「カフェテリアdeマヤビニック」!
サンクリストバルの歩行者天国の先端、カルメン教会に突き当たるところにあり、ロケーションも良い。
このカフェテリアこそが、もともと私が関わってきた慶應義塾大学山本純一研究室の「フェアトレードプロジェクト」がJICAの草の根市民協力の資金を得て手掛けた1大プロジェクト。
なぜJICA資金(つまり税金)を使って、一組合のカフェテリアの設立・運営を支援するに至ったかは、また機会を改めて説明したいのだが(設立・運営の費用は出していない。運営のためのノウハウや人材を派遣している)、少なくとも私が想像した以上に、カフェテリアは、組合にとっても、そしてカフェで働く人にとっても、そしてサンクリストバルの町にとっても欠くことのできない場所になっている。
メニューはコーヒーが中心。
アメリカーノからハンドドリップ、フレンチプレス、サイフォンまで、さまざまな抽出方法でマヤビニックのスペシャルティ級の輸入豆を惜しみなく提供している。
(おすすめは、フレンチプレスと、バリスタによるラテアートが楽しめるカフェラテ)
カフェテリアには、輸入に耐えられないB級豆を国内消費、という感覚はなく一番美味しいコーヒーが飲める場所、を本当に目指している。
場ができたことによって変わったのは、やっぱりここで働くスタッフなのではないかと想像する。
以前は、店内に1kg釜の焙煎機はあったものの、こちらはあくまで煙をたたせて、香りを店外に流すためのディスプレイ、多くは、車で15分ほど離れた組合の大型焙煎機を使ってカフェ用の豆も焙煎していた。
しかし、カフェスタッフ自ら、自分たちで焙煎した豆の方が美味しいとして、焙煎をすべて店内でやるよう、掛け合ったそうだ。
私が接するロースターさんは、皆さん、ご自身の哲学や美意識の中でローストに向き合っている。ロースターさんだけでなく、料理人、職人の姿とは、そういうものだと思う。その姿をみて、我々は、
「この人が作ったものなら間違いない」
と味にまで信頼を寄せる。
カフェで働くスタッフはまだ10代後半から20代前半の若者。
彼らに芽生えたプライドが、きっとマヤビニックカフェテリアの成長を加速させる。
サンクリに生まれたカフェテリアは、「支援」や「先住民の自立のための挑戦」という枠を超えて、サンクリストバルで愛されるカフェテリアのひとつであることは間違いない。