「カフェタル(コーヒーの栽培されているところ)へ行きたい。 収穫しているところを見てみたい。」
という私の願いは通算5年の訪問にして初めて叶えられた。 これまで、なんとなく機を逸していたのだが、 今回は組合側が積極的にアレンジをしてくれたのだ。
丸一日かけて、収穫、選別、 果肉除去の工程をすべて見せてくれた。(その後、 水槽にいれて発酵、時間をかけて乾燥と続く。これはまた改めて。)
マヤビニックの場合、収穫は早ければ12月から始まり、 その後3月まで続く。
私が見学させてもらったのは、 2015年より組合長に就任したマリアノさんのコーヒー農園。 農園と言っても、何か囲いがあるわけでもなく、 家の周りに隣接する森の中に、木陰農法という形をとって、 コーヒーが点々と植えられている。陰を作るのは、 バナナやレモンの木。
ほとんどの農家さんではすでに実は摘み取られていて、 マリアノさんの家も、今季最後の収穫ということで、 完熟した赤い実から未成熟豆を含めて、 すべての実を摘み取っているところだった。
低木が多いのは、ここ数年被害を受けているサビ病の影響で、 木の植え替えが行われているため。その中から、 まだ収穫されていない実を摘み取るのはマリアノさんとふたりの息 子さん、そして娘さん。
低木が多いのは、ここ数年被害を受けているサビ病の影響で、
娘さんに名前を尋ねると、「エリカ」という。 まるで日本人の名前みたいだよ、と伝えると、 照れ臭そうに笑った。
マリアノさんの家に限らず、コーヒーの木は、 山の斜面に植えられていることこが多く、 私もカメラを構えながら、そして、一緒に実を摘みながら、 何度となく足を滑らせる。バランスがうまくとれない。
実を摘み取る際も、完熟した実は、ポロッとうまくとれるのだが、 青い実はなかなかうまく摘み採れず、手こずっていると、 その間に彼らが手際よく収穫をする。
腰かごに摘み取った実をいれ、それがたまると、 ある地点までコーヒーの実を置きに行き、 再び空になった腰かごに、コーヒーの実を埋めてゆく。
陽が強く、ふたりの息子さんの額にも汗が光っている。時折、 木々の隙間を抜ける風が気持ち良い。
収穫した実を詰め込んだ袋が満杯になると、 マリアノさんが周囲をキョロキョロと見渡す。近くに、 枯れたバナナの大きな葉(茎だったのかもしれない) を見つけると、その葉を手で裁断し、 くるくると袋の口に巻き付けて縛った。
手品のような手際の良さで、ハサミや糸を使うことなく、 しっかりと閉じられた袋の口。
すると今度は腰に巻いていた丸い紐の片方を頭に巻き付けて、 もう片方を50kg以上になるコーヒーの実をいれた袋の底に引っ 掛けると、
「よいしょ」
といった掛け声とともに持ち上げると、 それを担いだまま山道を速足で上がっていった。 私も急いでそのあとを追う。
その距離は300メートルほどだろうか。
「マリアノの家は畑と家の距離が近いからまだ良い方だよ。 家から遠いところに畑を持っていたら、もっともっと大変だよ。 でもそれが日常だからね。」
と言う。先住民の皆さんは、決して体は大きくないけれど、 溢れる生命力や強靭な体は、彼らを大きく見せている。
さて、マリアノさんの家に戻ると、休む間もなく、 今度は実の選別をすることになった。
-----かつてのブログに書き記してきた滞在記も少しずつ転記しています。
ものの見方やコーヒーに対する視点・考えなども、今からみるとかなり違和感のある文章もありますが、それも含めてお読みください。
http://www.hagukumuhito.net/news/?mode=list&cat=10&&page=3
旅の写真はFacebookにて随時アップする予定です。
https://www.facebook.com/mvcoffee/