今日一日、何もすることがなくなるのか、と絶望しかけた頃(時計を見ると、9時を10分ほど回っただけだったが)、Javier(ハビエル)君がやってきた。約1年ぶりの再会。相変わらずスペイン語での会話はいつまでも続かず、Javierが「コーヒーを淹れるね」と席を立った頃、何名かがやってきて、焙煎機が稼働し始めた。
マヤビニック組合全体では、収穫も終わっており、輸入向けに約150トンのコーヒーがある。すでにアメリカに3コンテナを出荷。これから、さらにアメリカ1コンテナ、さらにスイス、日本にそれぞれ1コンテナの出荷待ち。残りは国内消費に充てられる。これはほぼ例年通りである。
サビ病からの回復によって前回記事にした通り(こちら)、バラエティに富んだ品種が収穫されるようになっている。
ガルニカ、オロアステカ、RR(エレエレ)etc・・・。
組合内でもカッピング研修をおこなっているというものの、品種別のカッピング機会などはない。
(「ガルニカってどんな風味がするのかな?」とか気にならないのかな?)
ひとまず、さまざまな品種がミックスされたロットでプレシッピングサンプルを送ってもらうことで合意。
ところで毎年、事業計画を立てる中で、今年は2つ達成したいことがあった。
1つは、作業場の改装。こちらは4月に無事に完成。運営について、これから決定していかなければならないので80%達成。
もう1つが、「マヤビニックの有機JAS認証取得」だった。
そもそもマヤビニックの組合員になるためには、「化学薬品を使った栽培をしていないこと」という決まりがあるので、組合員が納入する作物はコーヒーに限らず、はちみつもカカオもマカダミアナッツもすべて「有機栽培」なのであるが、それらを日本で販売しようとすると、「オーガニック」と冠することはできない。そこに多少もどかしさもある。しかしそれ以上に、私は組合から、「マヤビニックはすべてオーガニック栽培だ」と聞かされていて、もちろん信頼もしているのだが、すべての畑を確認できる術もなく、やはり日本で自信をもって販売するために、ひとつ有機JASという武装をしたいと思ったのだ。
「フェアトレード」に関して言えば、豆乃木とマヤビニック組合との直接の取引の場合、そこに不透明なものは一切ないが、オーガニック栽培は各農家の取り組みになるから、実際は、不透明なことが多い。残念ながら700以上の家族がどのように栽培しているかを、ひとつひとつ確認できないから、それを認証でフォローする。安直だろうか?
これまでマヤビニック組合は、Maya-Certというオーガニック認証機関を利用していたのだが、今季からCERTIMEXに切り替えた。それによって、CERTIMEXでの認定をパスすることで、有機JAS認証を受け取ることができるというシステムのようだ。
実は2017年の終わりごろに、組合から
「Seiko、有機JASは必要か?」
と連絡があり、私は半信半疑で
「Si(はい)」
と答えた。
とはいえ、実はあまり期待していなかったのだ。なぜならば、有機JASというのは、日本の有機認証である。つまり、我々に販売するためだけに、取得する認証なのだ。マヤビニックコーヒーを輸入しているのは、日本では我々だけで、我々の買い取り分は、全体の収穫量に対して決して多いとは言えない。しかし、彼らは有機JASを取得して販売することに決めた。
「JASの研修はとても細かくて厳しかった」
とJavierが言った。
ありがたいと思ったけど、気持ちも上手には言葉では伝えらず。とにかく、私にできることは、一日も早く、コーヒー豆を輸入して、日本のお客さまに届けること。5月中の契約締結、6月上旬の出港を目指す。
ところで、今回訪れたマリアノさんの畑でも、有機栽培のための工夫が、随所に見られた。有機JASという「認証」がなくても、安心して彼らの豆を使ってもらいたい、という気持ちがないこともないのだ・・・。
コーヒーをつくる土
鶏糞や牛糞、そして、写真にはないけれどコーヒーチェリーのカスカラ(除去後の果肉)なども肥料にあてられる。