今朝のことを思い出すと、思わずくすっとしてしまう。
昨日、遅めのランチを食べて以来、絶食だった私は、目覚めと共に空腹に襲われる。
朝一杯のコーヒーを心から欲していたのだが、セントロ(町の中心)から少し離れたこの宿から、(恐らくこの街で唯一美味しいコーヒーを飲ませてくれる)マヤビニックカフェテリアを往復するには時間がなさすぎた。
生真面目なスペイン語のマリオ先生は、レッスンの20分前に宿へやってきた。
着くなり、
「コーヒーの準備をしよう」
という生真面目な提案に、私は笑顔で応える。
当然、そこにそれらしきものがあるとあてにしていたのだが、ふたりして棚という棚をしらみつぶしに探してみるも、コーヒーは見当たらない。
コーヒーも飲まずに早朝2時間のレッスンがもつだろうか・・・
という私の不安は、そのまま、マリオ先生も一緒だったようで、彼の表情が曇っていく。
彼のただならぬ表情と、自らの禁断症状を恐れ、私は、思わず、
「先生、私に20分ください!コーヒー買いに行ってきます!!」
と言ったら、マリオ先生の表情は一気に晴れ、深くうなずく。それを見て、私は表へ飛び出した。
タクシーを捕まえ、すでに開店しているだろうとの願いを込めて、マヤビニックカフェを目指した。
運転手に「ちょっと待っててね」というようなことを伝えて、店内へ。
バリスタのイラリオがいつものはにかんだ笑顔で迎えてくれる(そして私はこの笑顔に弱い)。
「コーヒーちょうだい!」
もしかしたら、私は日本語で言ったかもしれない。でもイラリオにはなんとなく伝わって
「中煎りと深煎りがあるけど、どうする?」
と聞かれる。
「中煎りを250g。それからeste y este(これとこれ)」
といって、彼らの作ったとうもろこしケーキにバナナケーキを一緒に購入。
「スペイン語のレッスンはどう?」
というイラリオの質問に、
「Goodだよ~!先生と一緒にコーヒー飲むからね」
と中途半端な言語と身振り手振りで答え、颯のように立ち去ったのだった。
待っていてもらったタクシーに再び乗り込み、20分も経たずに戦利品を獲得した私は、コーヒーメーカーで淹れたコーヒーとケーキを先生の前にいそいそと運ぶ。
「You are very kind!」
と先生は言ったが、どうせなら、Your are very crazyと言ってほしかった。
(その後、先生から「このコーヒー、とてもおいしいね。あなたの関わっているマヤビニックのカフェはどこにあるの?」と聞かれて、カルメン寺院の近くだよ、と言ったら「それにしては戻ってくるのが、すごく早かったね!」と言われたので「タクシーで買いに行ったよ」と答えたら、閉口していたから、やっぱりcrazyだと思ったに違いない。)
とにかく、そうやってふたりして、満たされた時間が”穏やか”にスタートしたのだった。
残念ながら、その日は、予定がキャンセル。
無計画ながらも朝一のコーヒーにはありつけたけれど、なかなか計画通りには物事は運びませんね・・・。
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