今、メキシコでのかけがえのない時間がおだやかに終わろうとしている。あと3日、何事もなく暮らすことができれば、きっとこの滞在は、私にとっても、豆乃木にとっても、地面に根を張るための、かけがえのない時間になるだろう。
2か月という時間は短くもあり、長くもある。言えることは、すぎてしまうと、ただただ名残惜しいということ。
“C'est la vie"
人生ってそういうものだよね、と、もうひとりの私が答える。でも過ぎた後に気づいたのではない。毎日毎日がとても貴いものだと感じながらすごした2か月だった。
この2か月の間に、一層涼しくなったサンクリストバルの日暮れは、30分から1時間くらい早まっただろうか。
仕事としてのわかりやすい成果は、なにひとつない。
もし、私が、どこかの組織に所属する社員だったら、
「杉山ぁ!!!手ぶらで帰って来たのか!」
と上司にドヤされていたかもしれない。いや、クビか。
そんな上司にも、頭の中をのぞいてもらえれば、今私が手にしている冒険の地図を見てもらえるかな。
私が2か月の間に唯一手にしたこの冒険の地図には、会社をはじめたときに「こうなりたい」「豆乃木をこういうふうに育みたい」と思い描いた姿(それは宝物の在り処)が記されている。
でもそこにたどり着く前には、当然、険しい山もあるし、山賊がうようよしているかもしれない。
手ぶらの原因のひとつでもあるコーヒーのサビ病も、想像以上に深刻だ。
マヤビニック組合も、農家さんも、みんな嘆いている。
でも現状、手も足も出ない・・・。
今できることは、この冒険の地図を持って、ひたすら前に進むこと。この地図を手にすることができた幸運は、勇者の証。昔、熱狂したドラゴンクエストの「ゆうしゃ」のように、仲間とともに、前へ前へと進む。
この2か月を経て今なお、私の勇気は試されている。
どうか、私が高い山にも、深い谷にもびびらないように見守っていてください。
冒険の地図の中身は、10月19日(日)の第一回帰国報告会で、少しだけ、皆さんにお伝えしたい。伝えさせてください。
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