羽生結弦選手の2連覇の速報は、静岡大学浜松附属中学校で聞きました。本日は、家庭科の先生の学びの時間にお声がけをいただき、マヤビニックコーヒーのご提供と、豆乃木のコーヒー事業についてのお話をさせていただきました。
お休みにもかかわらず、熱心な先生方が多いことに頭が下がる思いです。
終わってほっとしたのもつかの間、ふと思うことがあり、書き始めています。それは、コーヒーの地産地消の必要性についてです。
そもそも、日本の至るところででコーヒー栽培をする、というのは、気候や地形といった点で現実的ではないと考えられています。とはいえ、一部の地域ではコーヒー栽培がされておりますが、量も限られるため、一般的に手に入れることができないのが現実で、私たちはコーヒーを外国から輸入することで、そのおいしさをいただいています。
比較的温暖な浜松で生活をしていると、工夫をすれば、このあたりでコーヒーの栽培もできるのではないかと思うことがあります。
または、私が、マヤビニックコーヒーについては、引き続き品質向上が課題であるが、メキシコと日本という距離もあり、頻繁に足を運べないので、早急な改善手立てができない、という話をすると、
「生産国で農園を買い上げて、自社農園にして管理しては?」
と大胆な提案をいただくこともあります。
静岡に限らず、日本国内でのコーヒー栽培や、生産国での自社農園管理・・・いずれも、「おもしろそう」ではありますが、私は、必要がないと思ってきました。必要がない、というよりは、「それはやりたくないなぁ~」と。
なぜやりたくないかと言えば、やっぱり私は、コーヒーに適した環境で、その土地で暮らす作り手がいて、彼らが生活の礎としている農作業から生まれる作物(コーヒー)に興味があるのです。彼らが作ったコーヒーに、お金を出して、購入したい。彼らが、私たちの声に耳を傾けてくれて、品質向上に取り組んでくれることがうれしいのです。
コーヒー栽培に適した赤道から南緯・北緯それぞれ25度の地域一帯を「コーヒーベルト」と呼びますが、コーヒーベルトにかかる多くの地域は、これから発展していく、希望に満ちた国々です。その一帯に暮らす彼らが、良いコーヒーを作ることで、生活にゆとりが生まれ、それが未来につながっていくことになるのが、理想なのです。そして、豆乃木も、彼らが作った良いコーヒーを販売して、お客様からお金をいただく。それによって得たお金で、できることが増えて、今よりも、さらに喜びが増すように思います。
一方で、コーヒービジネスが、大量の温室効果ガス(GHG)を生産することによって、地球環境を悪化させているとの指摘を受けて、数年前から、アメリカのフェアトレードコーヒーを扱うロースターら(例えばCooperative Coffeesのメンバー)が、さまざまな取り組みを行っていることを知りました。社屋にソーラーパネル、地熱、および屋上ガーデンを備えるなどの取り組みは、特別ではなく、多くのロースターが実践しているところで、それ以外にも、メキシコのチアパス州に自然保護協同組合が管理する「炭素クレジット」を購入し、追加の炭素排出量(ほとんどは船積みによるもの)を相殺するといった事例や、東海岸に本社がありながら、西海岸の卸売業者へ販売する際の長距離輸送を考慮し、西海岸に拠点を設けるなど、フェアトレードを実践するロースターは、多角的に、そして果敢に、社会課題に取り組んでいるのです。
確かに、フードマイレージという考えも、一般的になりつつある今、コーヒーの最大の消費国のひとつである日本が「コーヒーの地産地消」を果たせたならば、特に輸送にかかる環境への負荷の軽減に大いに貢献できるでしょう。コンサベーション・インターナショナル(CI)によると、地球温暖化によって、今後30年でコーヒー生産面積の50%が減少すると言われているようです。つまり、地球温暖化で一番痛手を受けるのは、コーヒー農家さんなのです。
車の運転が大好きで、ほとんど唯一の趣味と言っても過言ではない私にとって、目を覆いたくなるような話題ではありますが、このような現実から、目を背けることはできないのだと思います。
メキシコの産地で、アメリカのロースターさんにお会いできたら、彼らの取り組みを、直接伺ってみたいです。それに対して、私は何を感じ、何か具体的なアクションが起こせるでしょうか。正直、私には自信がありません。